コメント欄に書いたらもう少し書きたくなってきました「プライス・コレクション 若冲と江戸絵画」。
私が花鳥図や動物画は面白いと思うようになったのは2000年の若冲展を見てからで、それ以外の日本画には依然としてほとんど興味がもてない。それを理解するための教養がないから。花鳥図を見る時も、たぶん博物画を見るように見ているのだと思う。まず画題の生物が何なのかを同定してからでないと落ち着かない。
そういう邪道な見方からすると、若冲の花鳥図の魅力は横溢する生命力で、それをもたらしているのは躍動的な筆遣いと不均整な形、それに加えて醜の部分。若冲の描く葉は1枚ごとに必ずどこか一部分が枯れていたり穴が開いていたり、まともな葉は一枚もない。あえて醜くしているように思えるのだけれど、それが逆に美しく見える。それで今回、他の画家の花鳥図も興味を持って見たけれど、一枚も穴の開いている葉が見つからなかった。枯れた葉を描くのは普通ではないのか。酒井抱一の「十二か月」は色で枯れた感じを出していた。
応震の「麦稲図」其一の「柳に白鷺図」は本当に美しい、個人的に大発見だった。でもちょっとキレイ過ぎる。葛蛇玉の「雪中松に兎・梅に鴉」芦雪の「白象黒牛図」、「簗図」はとても面白い。ガラスがない裸展示はやはり素晴らしく、反射する影がどんなに邪魔なものかが分かった。紙のザラザラ感とか、墨や絵の具の質感が良いのです。
ちなみに、珍しく図録を買いました。知識を増やしたくなって。