シンポジウムとか共著本とかのコーディネイトの仕事って、どこまでコーディネータが詰めておくかで成果の印象が全然変わってくる。面白いもので、世の中には様々なタイプのコーディネータがいる。
ひとつは、方向性や結論まで予想してレールを敷いておくタイプ。成果重視型。というか、そもそも目的地点がはっきりしていて、そこへ向かうようにコーディネートしてるので、目的指向型というべきか。当然、成果が確実に出る。こういうコーディネータにうまく乗せられた役者は、かゆいところに手が届くようにフォローしてもらえるので気分がいいし、成果が目に見えるのでうれしい。欠点としては、レールを完璧に敷きすぎちゃった場合に役者がお釈迦様の掌の中で飛んでいた気分になってしまうことと、思いがけない成果がほとんど出ないこと。
もうひとつは、ほとんど直感で場のセッティングだけしておいて、後は成り行きに任せるタイプ。目的地点は未だ言語化されていないイメージの世界にあり、辿り着けるかどうかは役者の個性と場の運による。このタイプは、コーディネートと役者同士の相互作用という作業自体を楽しんでいるので、過程重視型というべきか。将来必ずやどこかに成果が現れるであろう、というぐらいの大らかな目標でやっているのだ。欠点は、役者が不安になることと、成果の総括が難しいので評価が分かれること。
正解は両者の間のどこかにある。自分のパーソナリティは明らかに後者寄りで、だからこそ前者のタイプの仕事を目指して努力すべきだと思ってる。
さらに言えば、優れた役者はコーディネータに影響を与えることができるので、コーディネータにそれを受け入れる柔軟性があれば、予想よりずっと良い地点に到達できることもある。たぶんこれが理想の形。