優れたプレゼンテーションを見ていると、様々な技術が複合的に用いられていることが分かる。プレゼン資料を作成する準備段階と実際にパフォーマンスを行う段階のそれぞれに、習得すべき技術があって、きちんと訓練されている人は、どちらもできる。また、どちらにも守るべき定型といったものがあり、それらを踏まえていればだいたい上手く行く、ということも分かる。
資料作成の段階では、単なる技術にとどまらない、戦略的・客観的な知性が必要とされる。言うべきことの中からどこを強調して訴えるかといった根本的なことから、どのように論理を組み立てれば聞き手に分かりやすいか、どのような図を見せれば聞き手の直感を上手に利用できるか、そして論理的な弱点をどのように隠すか、といった比較的瑣末なことまで考える必要がある。最終的には、現場でどのように話を進めるかを考えながら、細かく資料を手直ししていくことになる。これらの技術にはたぶん、ある程度までは定型がある。たとえば、「ポイントは3つにしぼれ」とか、「一区切りごとにまとめを入れろ」とか、あの手のやつ。けど、その定型の意味と効果が理解できていないと、実地で上手に使うのは難しい。
対して、実際のプレゼンの場で必要な技術は、訓練次第で身に付くものが多いように思える。発音の仕方、間の入れ方、話のスピード、強調の仕方など、どちらかというと身体的な訓練だから。
どちらの訓練においても、客観的な批判が有効だろうと思う。つまり独学独習だけでは、進歩が遅いだろうってこと。人の振り見て我が振り直せと言いますが、ある意味ではプレゼンのプロとも言うべき広告会社のプレゼンを見て、とても勉強になりました。