自分が「こ、これは面白い」と感じることには、決まった法則がある。1:予想と違う意外な現象またはパターンの発見。予想が常識的であるほど、また発見された現象やパターンが頑強であるほど面白い。2:その現象またはパターンを引き起こした、隠れたプロセスまたはファクトの判明。それが分かりやすいものであるほど、面白いと感じやすくなる。つまり「あれ?おかしいな。なんでだろう?」→「なるほど!そういうことか」という流れ。こう書くと当たり前のようだけど、これが成立するためにはいくつもの条件をクリアしなければならない。
自分がそれについて何も知らないときは、当然、何の予想も立たないので、意外なパターンなど発見しようがない。「へーそういうもんか」である。また、隠れたプロセスやファクトがいつまでも発見できないときは、ずっと「不思議やなあ」のままで、いつしか「なんか知らんけど、そういうもんなんやね」になる。ということは、面白いと感じるためには、予め自分に知識と予想があることが前提となるし、幸運も必要なのだ。
で、なぜこの流れがそれほど面白いかと言えば、その2つの瞬間に自分の思い込みが最も顕わになるからだろう。人間は、見えている事柄だけをつなぎ合わせて整合性のあるストーリーを作り、その中に生きている。まず1のステップでその整合性が実は幻想であったことに気づき、2のステップで自分には何が見えていなかったかに気づく。その後でストーリーが再構成され、世界が変わる。
幻想が世界を支配するほど大きいものであるとき、それがほころびる瞬間の驚きは快感と不安をもたらす。私はこれをSF感覚と呼んでいます。