一般のお客様に絶滅危惧種の話をする時に、言うべきなのにいつも忘れる事柄があって、今日も言い忘れた。
質疑応答の中で受けたコメントの1つに「絶滅危惧植物の各種を栽培で増やす方法や生育条件を専門家はもっと普及するべきだ」というものがあったのだが、まあこれに代表されるように、減っているなら栽培で増やしてやろうと思う人がどうやら結構な割合で含まれているらしい。話を聞くと、それは単純に増やしたいという思いに過ぎず、増やしたものを野生に返すというところまでは考えが及んでいないようなのだが。
それでいつも、話の中できちんと言うべきだったと後悔することになる。本来の環境の中に野生個体群が存続することと、生態系から切り離され庭の花として生き残ることの間には、重大な違いがあるということを。自分にとってはあまりに当たり前なので説明の必要があると実感できていないのが、ついついその話を抜かしてしまう原因だ。