ハナアブ標本をいじっているといろんな疑問が浮かんでくる。最大の疑問は、普遍種と希産種の違いは何によるんだろうか、ということ。どうしてシマハナアブはこんなにどこにでもたくさんいるのに、よく似たスルスミは少しずつしか採れないんだろうか。スルスミだけが、局所的に分布する特殊な資源を必要としているからなんだろうか。それとも、個体群パラメータの違いなんだろうか。
どこに特異性があるのか、という問いの立て方は果たして正しいのか、それすらも疑わしい。むしろ逆に、シマハナアブやホソヒラタアブはどうしてこんなに普遍的に存在できるのか、と問うべきなのかもしれない。
優占種はなぜ優占種たりえるのか、という古典的疑問だから、ハナアブに限った話でもないんだけど。競合関係にあれば多少分かりやすいのに、ハナアブたちに関しては、果たして競争しているのかどうかすら分からないので、疑問がより漠然としたものになってしまうんだよね。