あんまり書いたことのない話題だけど。
セカンドヴァイオリンの機能の最大の特徴は「役割が細かく変化する」という点にあるのではないかと思う。オーケストラでもカルテットでも、程度の差こそあれ本質的には同じ。例えば、初めの8小節はヴィオラと一緒にリズムを刻み、次の4小節は主旋律の3度下を奏で、その次の2小節は対位旋律に寄り添い、最後の2小節は和音を支える、といったように、細かく変化するのが普通だ。ハイドンのよく出来た弦楽四重奏曲では、ほとんど1小節ごとに役割が変化する時もある。(後期ロマン派以降のクラシック曲は、またちょっと別の話。)
音を出すこと自体は他の弦楽器より易しいことが多いので、セコバイにおいてより大事なのは、「音楽の中において、今この瞬間、自分の役割は何であり、どう弾くべきなのか」を瞬時に判断する、ということになってくる。いや別に、瞬時に判断できなくてもいいのかもしれないけど、その代わり事前のスコア分析に膨大な時間を費やすことになるので、それをサボるためにも素早さが必要になるんですわ。スコアを読むのをサボって、初見から何度か合奏をする間に他のパートを聴きながら自分の役割を探していくんだけど、そうすると自然と頭の中におおまかなスコアは入ってしまう。
というわけでセカンドヴァイオリンの楽しさは、小節ごとに自分の役割を見出して分析して実体化していくことにある、と思うんですよ。何度も弾いて分かったつもりの曲でも、新しい発見があると嬉しくなるし、うまく自分がはまると、当然ながら曲が面白くなるし。
今、セコバイで技術的に一番難しいと思うのは、役割が切り替わる時の「変わり身」を素早く行うこと。あと、短い時間に十分な表情をつけること。