「ここがウィネトカなら、きみはジュディ」(大森望編・ハヤカワ文庫)読了。
表題作のタイトルはいかにもロマンティックだけど、ロマンスの相手は実はジュディじゃないってところが、どうにも釈然としないところ。
「時間」がテーマの物語というのは、実に悲劇性を帯びやすいんだなあと改めて思った。なんだろう、人生の不可逆性のせいだろうか?不可逆なはずの時間が可逆的なものになる物語もたくさんあるけど、それが人に幸せをもたらすことなく、なぜか悲劇で終わってしまうことが多い。そして、悲劇の方が圧倒的に魅力的なのだ。
時間SFロマンスというつながりなのか、読みながら萩尾望都の「酔夢」が何度も脳裏に蘇ってきた。あれも悲劇だ。「銀の三角」も時間循環させられる話だったなあ。