reading

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(村上春樹、文藝春秋)を読了。 前半3分の1は全く退屈で、それが苦痛でもう読むのを止めようかと思ったほど。会話中の単語にも一つ一つ引っかかるし。でも「巡礼」が始まったら、物語が動き始めたら、一息だ…

丸山宗利著『アリの巣をめぐる冒険 未踏の調査地は足下に』(東海大学出版会・フィールドの生物学8)を読み終わった。名著です。 丸山さんの「断虫亭日乗」は、思わずくすっと笑っちゃうような、ジワッとした面白みが随所にあるので、本もそういう感じかな…

ケイト・モートン「忘れられた花園」(青木純子訳・東京創元社)を読了。なんというか・・・。必要なものがほどよく何もかも揃っていて、そのためにかえって非常に大きな欠落に気づくというような、ファミリーレストラン的なものを感じさせる娯楽小説だった…

『古書の来歴』(ジェラルディン・ブルックス、武田ランダムハウスジャパン)読了。とても面白かった。非常に映像的。かなりの情報量でありながら娯楽的。 「翻訳ミステリー大賞受賞」という帯から、これはミステリなのだと思い込んで読んでいたが、途中でこ…

昨夜、お風呂の中で文藝2011春号「特集・池澤夏樹」を読了。すごく面白かった。 「ぼくは『楽しい終末』で一時、終末論を追っかけて、それで袋小路に入ってしまって、あのあと七年くらい小説が書けなくなった。」 とか。ふうむ。

小澤征爾×村上春樹「小澤征爾さんと、音楽について話をする」(新潮社)を読み終わった。とても面白かった。全体としては小澤さんに語らせているが、マーラーの章では例外的に、村上さんがやや強く語りに入っている。総じて、音楽のもつ様々な要素について語…

先日実家から送られてきた大量のマンガの中に、なぜか藤沢周平「風の果て」(文春文庫)が混じっていた。読んだことあるよ、と思いながらついつい再読してみたら、面白くてやめられなくなった。とても良かった。「三屋清左衛門残日録」より人間が複雑で面白…

「春を恨んだりはしない 震災をめぐって考えたこと」(池澤夏樹著・中央公論新社・2011年9月発行)読了。1時間くらいで読める薄い本。 アマゾンにおすすめされたので一昨日の夜に注文したら、今朝9時にクロネコの人が届けてくれた。早い。この人は我が職場…

「プランク・ダイヴ」(イーガン著・ハヤカワSF文庫)読み途中。わりと面白い。分かる部分は。 数学・物理の教養が圧倒的に不足しているので、分からない部分は、なんというかこう、風邪で鼻づまりの時に、すごくおいしいはずのご馳走を食べているような感じ…

野田正彰『災害救援』(岩波新書)読了。少し古い本だし、事実関係どうこうよりも、エッセンスを読み取るべきだと思った。つまり、被災地の復興において、一番大切なことは何か、ということ。いま読んでおいて良かったと思う。 被災者に「被災者役割」を押し…

「プリンセス・トヨトミ」(万城目学・文春文庫)読了。おもしろかった。 くだらない、意味なんかない、でも守るってところが一番面白かった。まさに浪花節。 しかし考えてみると、実際にひとつの血統を守るためにすごい税金を注ぎ込んでいる国は、日本を含…

「森と芸術」展で見て、とても気になったので、「幻想の挿絵画家 カイ・ニールセン」(マール社)を購入。素晴らしい。本当に楽しい。画面構成、曲線、リズム、配色。日本の挿絵画家や漫画家にも影響を与えているのがよく分かる。アマゾンのレビューにあると…

そう言えば、「オリクスとクレイク」は翻訳が分かりにくかった。語感が悪いし、生物工学系の技術用語にはもう少し工夫の余地があると思った。

「オリクスとクレイク」は読み終わったんだけど、うーん。。。正直、期待したほどではなかったかなあ。このテーマだったらもっと面白くできるんじゃないか、という感じ。。。 ただ、叙述の構造はやっぱり上手いなあと思った。回想描写の章と現実描写の章が交…

「オリクスとクレイク」(マーガレット・アトウッド)読み途中。この状況でディストピア小説はどうかと思ったけど。

恐ろしいことにツイッターに嵌ってしまっています。ウェブ上の「読み物」の一種としてであって、自分のアカウントはありませんが。毎日かなりの時間をかけて読んでいるのは、渡邊芳之さんをはじめとする、思索系のツイートです。これが中毒性がある。 ただし…

「1Q84」Book2まで読了。なんていうか、物語に対して誠実にやろうとすると、どんどんメタ物語になっていくんかなあ。っていう感じ。 全体としてとってもポリティカリー・コレクトにきっちり進んで行く中で、後半突然に何が善なのかが分からなくなっていく瞬…

やっと「1Q84」を読んでいる。冒頭から文体がまるで新しくなっていて、良い意味で予想を裏切られた。簡潔でテキパキとしていて、すぐに好感をもった。文体さえ邪魔をしなければ、物語にはすぐに入り込むことができる。

今日届いた生態学会和文誌に載っていた島谷さんの「学術情報」がとても面白かった。すごい情熱があって、キレキレな文章。フィールドでお会いして話した時と、同じ人格とはちょっと思えなかった。野外にいる時は第二の人格ってことかなあ。面白いけど、キレ…

「ここがウィネトカなら、きみはジュディ」(大森望編・ハヤカワ文庫)読了。 表題作のタイトルはいかにもロマンティックだけど、ロマンスの相手は実はジュディじゃないってところが、どうにも釈然としないところ。 「時間」がテーマの物語というのは、実に…

「科学と神秘のあいだ」(菊池誠著・筑摩書房)を読み途中。 全く本筋と関係ないことが気になっているんだけど・・・「気のもん」って大阪弁?「気のせい」のことだよね?「気のもん」って言葉が何度も出てくるんだけど、初耳です。

「さる雑誌」も、まこりんの新刊も、J堂には置いていなかったので、がっくりでした。でも「きのう何食べた?」の4巻が出ていたので買いました。 今回はとても感動的。思うにこのお話は、筧さんが外見はとってもスッキリしている人なくせに、性格は全然スッ…

「大奥」第6巻。 なんというか、怖いですね。ここから何をやろうとしているのか、つかめそうでつかめない、不気味な感じがいたします。1巻ずつ、描いていることが違う。 あのー、大変遅まきながら、6巻を読んで初めて分かりましたよ。このマンガの設定は…

この数日で、なんとなく「夏の朝の成層圏」(池澤夏樹)を再読してしまった。たぶん、南国みたいな気分だからだろう。

昨夜、「創世の島」(バーナード・ベケット、早川書房)を読了。 えーと・・・すごく面白いし良いんだけど・・・「最後にどんでん返しがある」と帯に書いてあるために、最初の休憩時間のところでオチが分かってしまいまして、せっかくの終盤の部分で全く驚け…

「若冲 広がり続ける宇宙」(狩野博幸著、角川文庫・カドカワアートセレクション)を新宿で買い、新幹線で読了。すごく面白かった。若冲という人物や交流関係、当時の雰囲気といったものにここまで迫っていけるのかと。200年前のことが分かる喜び。謎解きの…

そして「カデナ」(池澤夏樹・新潮社)を読了。良かった。 「カデナ」は去年の秋に出版された本だが、元は2007年から2008年にかけて連載された小説だ。何が言いたいかっていうと、政権交代より前に書かれたってこと。つまり今のかまびすしい状況とは、もちろ…

『サイチョウ 熱帯の森にタネをまく巨鳥』(北村俊平著・東海大学出版会)を買おうと思ってたら、いただいてしまった。副題がかっこいいなー。東京−盛岡で読了。三箇所、脱字を見つけました。 書きぶりに著者の個性がよく表れているような気がする。冷静で抑…

『わかりやすく<伝える>技術』(池上彰著・講談社現代新書)読み途中。これすごいですね。本当に分かりやすいです。伝えるための「技」が、すぐに実践できるように書いてある。人前で話をする時に漠然と考えていることを、すっきりと整理して目の前に並べ…

クライトンの「NEXT」上・下(ハヤカワSF文庫)。うーん微妙。驚きも、謎もスリルもない。いまいち・・・。これ、小説じゃなくてテレビドラマだったら、かなり面白いと思うなあ。ERみたいに。