若冲 広がり続ける宇宙」(狩野博幸著、角川文庫・カドカワアートセレクション)を新宿で買い、新幹線で読了。すごく面白かった。若冲という人物や交流関係、当時の雰囲気といったものにここまで迫っていけるのかと。200年前のことが分かる喜び。謎解きの楽しさ。新しい発見の驚き。
ティー・ブレイク」と題された、しかしボリュームたっぷりの、「動植彩絵」の改題もすごく嬉しかった。しかも、全ての図がカラーで示されている。
あちこちに表れる、世間の若冲ブームに対する批判めいた記述が少し気にかかった。表現がアンチテーゼという形を取ると、内容がどんなに正しくても、決して美しくはならないから。こんな風に書かなくても、豊富な知識と圧倒的な説得力でもって十分に意図は通じると思うのだけれど。
それにしても、若冲の描いた生物を見ると、ほとんどが種まで同定できるということに改めて驚くよね。