1Q84」Book2まで読了。なんていうか、物語に対して誠実にやろうとすると、どんどんメタ物語になっていくんかなあ。っていう感じ。
全体としてとってもポリティカリー・コレクトにきっちり進んで行く中で、後半突然に何が善なのかが分からなくなっていく瞬間が面白かった。「何が悪か」ではなく「何が善か」が分からなくなる。そのことが、この人にとっては大切だったんだろうかと思った。
確かに、この世の中では圧倒的に多くの人が、悪意よりも善意によって動いている。あるいは、正義によって。世の中の巨大な悲劇はすべて、その結果として起きていると言っていい。一番恐ろしくて始末に負えないのが、自分の正しさを疑えない人間だ、ということを、私たちは1995年に知らされた。そのことを思い出せ、思い出せ、と言っているようでもある。