丸山宗利著『アリの巣をめぐる冒険 未踏の調査地は足下に』(東海大学出版会・フィールドの生物学8)を読み終わった。名著です。
丸山さんの「断虫亭日乗」は、思わずくすっと笑っちゃうような、ジワッとした面白みが随所にあるので、本もそういう感じかな、と読む前は思っていたのだけれど。この本はそのイメージを裏切って、ひたすら真摯に研究の面白さと高揚感と志を語っていた。これを読んで、研究者になりたいと思う若い人がたくさんいるだろう。

丸山さんと昔、こういうやりとりをした。
私が

分類学がどういう学問かについての自分の見解を、分かりやすくかつ面白く、完全素人むけに日本語で説明した分類学者って、いますか?同業者に喧嘩売ったり挑発したりするのでなく、誠実に自分のワクワクを伝えてる人。」

http://d.hatena.ne.jp/mahoro_s/20080830/1220116391

と書いたのに対して、
丸山さんが下記のように真面目な反応を下さった。
http://d.hatena.ne.jp/dantyutei/20080831
それで私が

「普及活動」に対して持っているイメージは、「鏡に自分の姿を映して見る」ことにとても近いです。

http://d.hatena.ne.jp/mahoro_s/20080901/1220287737

と返答したら、さらに真面目なコメントをいただいた。
読みながら、このやりとりを思い出さずにはいられなかった。
間違いなく、分類学について誠実に自分のワクワクを伝える本が1冊出た、と思う。分類学とはどういう学問かと訊かれたら、とりあえずこれを紹介したい。