館では現在、膨大な量の古文書の洗浄が進められています。紙の処理については、当館にプロトコルができています。海水に浸った紙は、通常の水濡れよりも腐敗・カビの進行が早い。それを頭に入れた上で、植物標本の処理について考えています。
植物標本が古文書と違うのは、最終的に残したいのは紙じゃないってことだと思います。紙の処理法に倣うべき部分もあるけど、同じではない。
カビだらけの台紙や新聞紙に挟んだままで植物標本をエタノールにつけるとすれば、膨大な量のエタノールが必要になる。その後に凍結乾燥したとしても、最終的にはカビの生えた台紙から外さなければならない。それが凍結乾燥後に楽にできるかどうかが見えてこない。そこが最大の問題。
当面の方針としては、水洗いして、汚れた台紙・新聞紙から外すのがまず第一と考えています。きれいな新聞紙に移せれば、後は普通の押し葉標本と同じ扱いができる。すでに腐っているものは、水をかけようがエタノールをかけようが、もうどうしようもないので、諦めるしかないだろうと思います。