エゾエンゴサク」の学名とされていたCorydalis ambiguaは非正規名で、正しくはC. fumariifolia ssp. azureaとすべきであり、かつ、東北ほか本州中北部で皆が「エゾエンゴサク」と呼んでたのは、北海道の「エゾエンゴサク」とは別種だから、新種C. fukuharaeとするよ、という論文が発表されたのは1996年(Liden, Willdenowia 26: 23-35)。それが日本語の文献で初めて紹介されたのが2004年(河野昭一監修『植物生活史図鑑 II』北海道大学出版会)。その時、fukuharaeの和名は「オトメエンゴサク」として紹介された。今ではこの種についての認知度がだんだん上がって来ているらしく、ネット検索するとこの和名で紹介されているページをたくさん見ることができる。
要は、東北で今まで「エゾ」と呼んでたやつの名前が変わっただけのことなんだけど、お客さんによると、ヤマエンゴサクなどの白花品のことを「オトメエンゴサク」と呼ぶ人がいるらしく、混乱が起きているらしい。
この種について改めて調べてみたら、今では和名として「ホンシュウエンゴサク」というのも使われているらしいことが分かった。この和名の出典が知りたい。
あと、C. fukuharaeを認めるとすると、これは日本固有種になるらしい。でも『日本の固有植物』(国立科学博物館叢書)では取り上げられていない。発表されてもう15年も経っているのに、新種として受容されるには、まだ時間がかかるのか?それとも何か問題があるのだろうか?