11年前まで、6年間通った調査地を再訪してみた。「すっかり変わった」と聞いていたので、この目で見てみようと思って。
道を覚えているかどうか心配だったが、歩き始めたら記憶が蘇ってきた。少しだけ整備されて見た目が変わったけれど、基本的には同じ。道に埋もれている石の形も同じ。懐かしすぎる。
山を上がるにつれて、変化が目に見えてきた。そこら中で、コナラを伐ってビニールをかぶせてある。当時は藪に紛れてほとんど動いていなかったケーブルが稼働して、木を下ろしている。そして確かに林床が貧しい。
貧しいどころか、何も生えていない。あんなにたくさん生えていたリョウメンシダ、イノデ、ウスノキとカンサイスノキ、コアジサイ、アオキもない。スゲ属、シュンラン、ヒトリシズカヤブミョウガ、もちろんカキノハグサもない。ササはまだあるけど、全ての稈にかじられた跡がある。たった10年でこうなるのか。大きな衝撃。
モチツツジヤマツツジはかろうじて生き延びている。イノモトソウはやたらと元気。ヒイラギ、アラカシ、ヒサカキ、ソヨゴなど常緑樹は生きている。コナラ以外の高木はまだ元気。樹皮剥ぎはまだ始まっていないようだ。
尾根道にはヌタ場があって、足跡がたくさん。糞は見当たらない。
ここは昔の植生データがちゃんとある場所のはずだけど、誰かこの変化を記録してるんだろうか?