蛇紋岩植物を研究なさっている京都のKさんに尋ねてみたら、蛇紋岩植物と土壌分析関係の論文を紹介してくれた。Berglund, Dahlgren & Westerbergh (2003)。Kさんに感謝。Cerastium alpinumの蛇紋岩地帯・非蛇紋岩地帯の各3個体群からサンプリングし、MgやNiなどが根の成長に与える影響を調べている。この論文がちょっと面白いのは、系統の違う個体群にそれぞれ蛇紋岩耐性があるってところ。著者は、耐性が平行に何度も進化したという議論をしている。
これは論理的に説明がつかないのだけど、「蛇紋岩耐性が進化したのはたった一つの系統だった」という結論の方が直感的には面白いような気がしてしまう。なぜだろう。
それぞれの土壌pHは、非蛇紋岩地帯が酸性で蛇紋岩地帯がほぼ中性だった。あと、論文中のレビューがかなり勉強になった。蛇紋岩と植物の関係には、MgやNiの他に乾燥なども強く作用する。Mimulusの系で研究が進んでいる感触なので、蛇紋岩耐性に関わる遺伝子なんて、すぐに単離されるんじゃないだろうか。生理学的な背景が分かるのはその後か。ただ、種によって耐性を担う具体的な生理学的プロセスが違うようなので、Mimulusの結果がすべての蛇紋岩植物に適用されるわけではないことは推測できる。