展覧会のテーマと観客数の話のつづき

個人的にはid:soishidaさんの言うところにまったく同意です。
従来、博物館は展覧会のテーマが「お客さんさえたくさん入ればなんでもいい」になることを厳しく戒めてきたわけですなー。言ってみればそれは堕落だと。そんなの芸術文化じゃない、と。対する考え方は「本当に見せる価値がある、中身のあるものを見せるんだ!」ですかね。「見せる価値がある」と判断するのは、専門家であり企画者である学芸員なので、テーマ設定に「学芸員の価値観が生かされてる」かどうかを問題視しているわけですね。
価値判断の根本にあるのは、企画者自身の「これは面白い(はずだ)」という主観ですが、その上で「見せる価値がある」と判断されるための基準のひとつは、やはりオリジナリティでしょうか。他では見られないもの、独自の切り口、新しい世界など。それから、今日的あるいは普遍的なテーマであることも、ひとつの基準かな。あとやはり無視できないのは、見た人に価値を分かってもらえるかどうか、ってこと。そこが一番みきわめが難しく、リスクのあるところ。
引用されている記事の「税金で美術館が成り立っているのを忘れ、独りよがりな展覧会を企画し、観客を遠ざけている学芸員もいる。」という文は、その展覧会が見せる価値のあるものかどうか、多くの観点からシビアにみきわめなさいよ、という意味に読めなくもない。
その辺りの意識は展覧会のテーマ設定にとどまらず、見せ方にも大きな影響をおよぼすので、考えて損はないと思うわけです。