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午後は休みを取って、仙台へ。バスで東北大学の自然史標本館へ。15時過ぎから16時まで。小さな建物に化石・鉱物標本がぎっしり。もう少し空間にゆとりを持たせて美しく見せる方が効果的だと思うけれど、でもたくさんの美しい物が見られたので満足。ガラス製…

はじめに南馬込へ行って、大田区立郷土博物館で川瀬巴水を見る。次に原宿に行って、太田記念美術館を見る。 午後に上野に行って、科博のミニ企画展「ダーウィンフィンチ」を見る。ついでに地球館の地下2階をまた見る。絶滅した生物、進化する生物。ここは何…

上野では「大恐竜展」「京都展」「ターナー展」と、大型展覧会が目白押しだったわけだけど、当然ながらどれも混雑しているらしく、1時間かそこらで見られるとは思えなかった。 んで、東博日本館の特集陳列「描かれた風景 ―憧れの真景・実景への関心―」は、…

8時48分発のはやぶさ、11時2分に上野に着。上野はすごい人出。科博の「日本のアザミ」展と地球館の展示を少し見る。東京国立博物館の特集陳列「描かれた風景」を見て、通りがかりに「書画の展開」に出ている円山応挙の写生帖をもう一度眺める。 東京駅へ移動…

お休みを利用して、上野。お昼からカハクの企画展「日本のアザミの秘密」と、トーハクの「博物図譜」展示と特別展「上海博物館 中国絵画の至宝」を見て、日帰り。 「日本のアザミの秘密」は確信に満ちていて、自分にもアザミが見分けられるかも、という気に…

「花開く 江戸の園芸」。 江戸の園芸文化が、花見観光から植木、鉢植えへと盛り上がり、だんだんマニアックに先鋭化していく感じがよく分かった。春の七草の寄せ植えとか福寿草の鉢とか、みんな江戸時代から現代に続いているものだというのは面白い。 資料数…

時々、生物のサンプリングの依頼が来ます。「○○のDNAを調べたいのでちょこっと葉を採って送ってくれ」みたいなやつです。そういう依頼は引き受けないのが基本姿勢です。なぜかと言うと、第一に、安直過ぎる研究方法に腹が立つから。第二に、大変な作業のわり…

展覧会最終日。いろんな方がいらして下さった。 海と貝のミュージアムの重要コレクションを寄贈した方の御家族が展示を見にいらして、寄贈コレクションのうちの1点が展示されているのを見て、他にも残っているのか?と解説員に質問して下さった。津波の数ヶ…

まだ日誌をつけていなかった頃、岩渕先生に言われたことで、どうしても忘れられない言葉がある。博物館に就職して半年くらい経った頃だったと思う。「あなたがやりたいこととは違うかもしれないけど、標本の仕事もしないといけないよ。」というような意味の…

日博協の大会に参加したのは初めてだったけど、内容はかなり充実していて良かった。この内容なら、経費を大幅に削減して参加費を下げれば、現場学芸員ももっと出て来るだろう。そうすると内容ももっと面白くなっていくだろうと思った。今の金額では無理だけ…

科博の「縄文人展」。小さいけれどとても面白かった。見て良かった。伝えたいことがよく分かり、かつ美しく、ひそかにドラマティック。伝えたいことをここまでしぼりこまないと、こういう展示はできないんだなあ。

植物標本の洗浄と復元について記録しておくべきことは何か。単に「やりました」じゃなく。方法論の妥当性の検討は後へ回すとして。

もっと後の課題になると思うけれど、自然史標本関係者が真面目に考えるべきことの一つとして「ラベルのない標本も捨てずに救うべきか」という問いがあると思う。付け加えるとこれは、優先順位の低い資料の処理を後回しにするだけで、いずれは全て救うのだ、…

県内であちこちの景色を撮影して、景観写真のセットみたいのを作るべきだと思いついた。 講座とか展示で使うのに、あると非常に便利だろう。 これまでにも、何かのついでに目を留めた景色を撮りためていたつもり。なのに、いざ必要になって見直してみると、…

今回の標本調査で分かったこと。 ・Cyperus haspan L. var. tuberiferus T.Koyama(コアゼガヤツリ)のホロタイプの産地は、盛岡市高松の高松の池。記載論文には書かれていない。 ・ルリハッカの国内産標本は、TIにすら6点くらいしかない。稀少。岩手県産は…

作品に「明確なコンセプトがある」と言う時、それは「初めから終わりまで一貫した印象を受ける」と同義であることが多い。本来は「デザインコンセプト」と言うべきものだろう。業界用語が一般言語に浸透した例か。もう一つ、「メッセージ性が強い」というこ…

何度も言ったのに、相変わらず標本をセロハンテープや粘着テープで台紙に貼り付けてくる人がいる。それも複数人。薬品とかを使って剥がして上げないといけないのか?それとも30年経って剥がれるのを待つべきか?

鳥羽源蔵コレクションの再評価 その2

コレクションにタイプが含まれているか否かで価値の高低が決まるのは、分類学的な評価軸。この軸で言えば、タイプ以外の標本はいわば「雑魚」である。しかし現代では、標本は生物学の様々な場面で利用されていて、価値も多様化している。タイプの有無以外の…

机の上に散りばめられた様々な色と形の落ち葉を見て、そのリズムを楽しむ時に使う脳みその部位、というのがある。一方、1枚の落ち葉を見て、これは何という種かと考える時に使う脳みその部位、というのもある。そうした切り替えを意識的に行うことの面白さ…

植物誌の市民調査活動みたいな、パラタク養成活動に関して、前から知りたいと思っていることがある。 日本みたいなところで真面目にパラタクソノミストをやったら、1年もしないうちに真の分類学上の問題につきあたるはず。つまり、分類学上の整理がついてい…

「森と芸術」展について追記。 展覧会を見るために館内を歩くと、ところどころで窓ガラス越しに庭の風景を見ることができる。館に入るまではただの庭、というか、私の目には「植物」として見えていたものが、いつのまにか展示のイメージと混じって、1枚の美…

午後はまた科博で、標本情報の研究会。標本救済ネットについて3つのお話を聴く。救済ネットはすごく意味のある活動だと思うけど、できることは限定的だ。これと同時に、やっぱり根本的な問題解決も目指していかないとなあ。現状のまま標本を受け入れていっ…

庭園美術館の「森と芸術」展を見てきた。いろいろな時代のいろいろな物が見られてとても楽しかった。ほとんどは国内の美術館の所蔵品だけど、見たかったものは見られた感じ。 構成はあまり面白く感じなかった。ヨーロッパ美術における「森」の意味を時系列で…

医療過疎問題と同じで、日常にすでに構造的問題があって、そこに災害が起きたもんだから、状態が一気に悪化した、ということだと思うんだけど。この広い県に植物専門の学芸員が一人しかいない状態なんて、正直、滅茶苦茶だよなあ。限界が来ている。他の分類…

日本全国、貴重な標本はかなり多くあるのに、仕事としてその管理を担う機関や人材が少なく、不十分な設備で非専門家が管理せざるを得ない。不適切な状態に置かれている標本がたくさんある。標本の意味を理解している人が少なく、社会に対してきちんと疑問を…

熊谷さんが、収蔵資料のレスキューについて「うちがよそに迷惑をかけている」「県博は二次被災者だね」と言うのが気になる。冗談混じりながらも。 収蔵資料はそれぞれの館・その自治体の財産であることは確かだけど、人類の共有財産でもあるわけで。レスキュ…

しかしまあ、高田の博物館がこんなに重要な標本を1万点以上持っていたということを、なぜ私はこれまで知らずにいたんだろうか。どうして全く利用せずに来たんだろうか。信じられないな。あんなに見たいと思っていた福田裕の標本まで含まれているじゃないか…

海水をかぶって泥まみれだし、もう救えないよなあと思っていても、目の前に貴重な資料を見てしまうと、持って帰って復元したくなる、という心理。でも思っていたよりずっと量が多かったし、状態も予想していたよりずっと良かった。 ということで、他の館に助…

津波をかぶって壊れてしまった陸前高田市博は、私の中で「放課後博物館」の一つの理想形として記憶されている。学校帰りの小学生が裏口から博物館の作業場へ気軽に入って来て、捕った虫を学芸員に見せたりしていた。こういうスタイルが取れない県立の博物館…

地震の前から決まっていた壁付き展示ケースの改修で、業者さんが来た。30数年前に設計された美術展示用の気密ケースで、天井にガラスが張ってあり、その上にルーバーと蛍光管がある。床の照明器具もガラス張りで、中に蛍光管がある。どちらも、ガラスの四辺…