作品に「明確なコンセプトがある」と言う時、それは「初めから終わりまで一貫した印象を受ける」と同義であることが多い。本来は「デザインコンセプト」と言うべきものだろう。業界用語が一般言語に浸透した例か。もう一つ、「メッセージ性が強い」ということとほぼ同義の場合がある。何らかのメッセージをはっきりと感知できる作品について、人は「明確なコンセプトがある」と評する。
いずれにせよ「明確なコンセプトがある」とは「褒め言葉」の一種として用いられている。それはなぜかと言えば、多くの人にとって、作品から「一貫した印象を受ける」あるいは「はっきりしたメッセージを受け取れる」ことが良いことと感じられるからだろう。
ただし、美術や純文学、映像の世界では必ずしもそういうものばかりが高い評価を得るとは限らないのも面白いところ。人には、わけがわからないものに対して「わけがわからないけど魅力的」と感じる能力もあるわけだ。