ツツジの花を見ると、中学の理科IIの授業を思い出す。花の構造を習った時のことで、花を採ってきてスケッチし、感想や疑問を書くことになった。その時、ツツジの花について「なぜ斑点が1枚の花弁にしか無いのか、どうしてこんな模様になったのか不思議です」というようなことを書いた。5枚の花弁のうち、上の花弁の内側だけにある、あの斑点のことだ。それに対する先生のコメントは、「こういう答えの出ない疑問は書かないように」という極めて教育的なものだった。科学的に問う価値のない問いがあるということを、先生は知らせたかったのだろう。25年前の中学・高校の生物の先生はそんな風だった。その時は、自分の問いの子どもっぽさにがっかりしたし、先生の冷たさには反感を覚えた。
大学に行って、あの問いは生物学的にも十分に意味があったということを学び、先生が間違っていたことを知った。今の私は、ちゃんと答えもあるということを知っている。もし中学生の自分に言えることがあるとしたら「先生の言うことは傾聴に値する。けれど、必ずしも正しいわけじゃない。疑問は追及し続けろ。」と言うだろう。
ちなみに高校生になって同じ先生に言われた言葉がきっかけで、私は理系に進むことにした。「迷っているなら理系に行く方が良いわよ。だって文系には皆が行くじゃない。」と言われたのだった。考えてみれば、恩師である。