ついでに展覧会も見た。あいかわらずスタイリッシュで大人限定。空間構成とデザインのスマートさ、マテリアルの使い方はやっぱり勉強になる。平日の夕方にもかかわらずお客さんがわりと入っていて、50〜70代の男性が中心。それが「鉄」の硬派な感じと不思議にマッチしていて面白かった。お仕事の関係で来ている人も多そうだったけど、みんなものすごく真面目に見ていて、男っぽーい感じ。
鉄をめぐるあれだけ多様な話題を、時間スケールという切り口で切ってみせ、スケールごとのブース展示にしている。思い切ったアイデアだ。多少強引だけど、それが空間を貫くストーリーになっていて、統一感を生み出している。
ランプの当て方も影の消し方もやっぱりプロ。ランプはムラが少なくて、何を使ってるのか訊いてみたい。黒い背景に黒いラベルを貼っているのは、色味の違いが気になるのであまり賛成できない。黒にも色々な黒があって、印刷方法が違うとトーンを合わせるのが難しい。むしろ灰色とか銀色の方がいいんじゃないだろうか。

「キュラトリアル」の方も、貴重な資料がたくさん見られて楽しかった。前にはなかった場所に壁付きケースができていて、お金かかってるなあと思ったんだけど、後から気づいた。すでにシンボルとなっているあの自立ケースユニットの、分厚い板ガラスをばらして、壁に連続でビス止めすることによって、一時的な壁付きケースを作っていたんだな。新しい什器を作ったように見えて、実はリサイクル。板ガラスの幅が50cmくらいと狭いので、ガラスの切れ目が多くて気になるけど、たぶん一般の人ならあまり気にしないだろう。長いガラスケースを予め部屋の壁に作り付けると、展示レイアウトはそれでほぼ固定されてしまうし、きわめて単調になる。その問題を解決する1つの方法なわけだ。密閉性はゼロなので、美術品は展示できないけど、たいていの学術資料なら支障はないだろう。
ラミダスの前で、でっかい声でえんえんとおしゃべりを楽しんでいる70代の殿方達がいた。ここが一種の社交場になっているんだろうと思う。ケースの前に立ちふさがってて、迷惑ですよ。