展覧会のデザインと制作を、部分的にでも展示業者さんに委託できる博物館は、ほとんどなくなっています。単純に予算上の制約によるものでしょう。結果、素人の手になる展覧会ばかりをお客さんに見せることになっています。
同じような顔をしているけれど、展示制作に関して素人である学芸員が作ったものと、プロが関わったものは明らかに質が違う。それは一目見れば分かる。素材や機材にかけるお金の多寡だけではなく、明らかに、見せる技術に差があるからです。学芸員は本当は「手作り展示」を誇るべきではないでしょう。「手作り感」はまだ良いけれど「素人っぽさ」はNGなはず。見せモノとしてお金を取るなら、きちんと時間をかけてプロに頼むのでなく、自分たちでバタバタとやらざるを得ないということは、本当は恥ずかしいことなのです。
見せる技術とは何か、それを知るためにプロの展示を見る。自分がやっている仕事と、プロがやった仕事では、どこがどんな風に違うのか。すると、高度な技術と知識・経験の差ももちろんあるけれど、意外と簡単なところにも差があるということに気づく。細かいところにちゃんと気を配れるかどうか。1ミリの差、1°のずれに妥協しないでやれるかどうか。あとは、素材の扱い方の上手さ。そういうことの積み重ねが、意外と効果があるみたい。