岩手県では、ニホンジカの数はまだそんなに多くないけれど、どんどん分布が広がっている。農業被害額も増加中。県では保護管理計画を定めてニホンジカの個体数管理をしようとしている。
ニホンジカが高密度にいる地区は個体数調整区域と名づけられ、年に1500頭くらい捕獲されていて、これは目標値にほぼ等しい。そのうち約1200頭は狩猟捕獲。比較的密度の低い周辺の地区は侵出抑制区域と名づけられ、シカの分布が広がらないようにすることを目指していて、昨年度は829頭が捕獲され、そのうち660頭が狩猟捕獲。つまり県内で捕獲されるニホンジカの8割が狩猟捕獲、残りが有害捕獲によるもの。(以上のデータは県で公開している会議資料からの引用。http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?nd=301&of=1&ik=3&pnp=59&pnp=263&pnp=301&cd=34248
ところが、9月下旬に捕獲された一関市・陸前高田市ニホンジカの肉から400Bq/kgを超える放射性セシウムが検出され、11月下旬に捕獲された一関市萩荘ツキノワグマの肉からは600Bq/kgの放射性セシウムが検出された。食肉の暫定規制値は500Bq/kgのため、「当該地域の」ツキノワグマは規制対象となった。
こうなると予測されるのは、ニホンジカの狩猟捕獲頭数が激減するだろうということだ。減少した分の頭数を、有害捕獲で補えるものだろうか?これからはいよいよ、食べることのできない・売ることのできないニホンジカを、個体数を抑制するだけのために殺す仕組みが必要になる。茨城県大子町では、食用にできなくなったイノシシの捕獲に、1頭1万円の助成をすることにしたという新聞記事を読んだ。ニホンジカの捕獲に対しても正当な報酬を払う制度が必要になるだろう。