岩波『科学』5月号に永益さんが「大学博物館からの提案 標本収集と分類,分類学者養成」。
標本収集については、新しい切り口はない(みんな同じことしか言わない)ということが分かった。でもそこから、標本の同定と分類が必要であることをきちんと言えるのが分類学者なんだなあと思った。さらに、分類学者養成が危急の問題であると、きちんと言えるのは分類学者その人しかいないのだから、もっともっとこの話題に紙面を割いてほしい。分類学の必要性を大きな声で叫び、分類学の教室を存続させ、分類学者を職に就けるために、大きな声を出せるのは分類学者しかいないのよ。
永益さんは一瞬しか触れていないけれど、「分類学者を養成するための大学院のようなものを全国の大学博物館の連携によって作る」というアイデアはすごく面白いと思いました。もっと書いてほしい。
ただでさえ少ないパイを、生態学志向者と分類学志向者で奪い合うのは、博物館や自然史研究にとって大変不幸なことだとつねづね思っている。分類学者は博物館にいなければならないのだ。世の中を動かして、みんなでパイを増やさなきゃ。
ものすごく鋭い方なんだけどこういう文章を書く時は意外に穏やかな書きぶりなんだなあ、というのが発見でした。