沿岸の植生や植物相の津波被害を調査して記録に残すべきだ。と、私だって思ってるんだけど、今はその時間がなくて、自分で動くのは全く無理。標本レスキューと天秤にかけたら、学芸員の職務的に、今は標本を優先すべきという結論になるので、夏までは自分では調査できないと思う。でもいろいろ考える。
いま調査したとして果たして実態がつかめるのか、という素朴な疑問も浮かんでくる。いまは元気なように見えていても後で枯れてくることもあるだろうし、一時的にやられたように見えていても、すぐに回復してくることもあるだろう。例えば今日のように大雨が降れば、また新たな被害が生じるはずだ。「津波被害」として示すには、いつの時間断面を切り取れば良いのか。
たぶんそういうことではなくて、直後から記録を始めて、長期的に記録を続けることに意味があるんだろう。海岸線は長いから、具体的に調査地点を決めないといけないけど。さらに言えば津波前の基盤データがあれば最高なんだけど、そんな場所はほとんどないなあ。こういう時のためにも、普段からあまり意味のない植生調査とかもやっておくべきなのかねえ。たぶん、実際にやってみないと分からないことがかなり多いだろう。
津波被害の調査については、興味を持っている人がたくさんいるはずなので、誰かがやってくれるのではないかとひそかに他力本願な状態。沿岸在住の植物好きな人たちは、すでに自分たちで調査を始めているし、それをきちんとサポートできる、確かな知識を持った専門家がいれば素晴らしいと思う。