沿岸生態系への津波の影響に関するシンポジウム。「とりあえずこういう調査を始めています」という報告。難しいのはやはり、ベースラインデータがほとんどないことと、初めて見る現象であること。この2点はどの調査でも共通と思う。
ベースライン(ふだんの変動)のデータがないということは、今見ているこの現象が、生態学的に、ふだんの変動幅の中に収まるものか、それとも600年に1度の出来事なのかが判断できない、ということを意味する。
陸上植物の応答はゆっくりだからまだいいんだけど、ベントスとか小さい生き物は速いので難しい。それこそ、地元に自然史系の博物館があって、浜の生物の定期的なモニタリングでもしていたら、素晴らしく有用なデータになったに違いないのだけれど、残念ながらそういうものはない。
シンポジウムで確認されたことは、今後のモニタリングの重要性、ということだった。でも、これから長く続けるべきモニタリングを、大学の優秀な研究者の方々が自分自身で担うのは無理があるわけで。そこで必要なのが市民調査ですよ、博物館施設ですよ、という流れになれば理想的、なのかな?