講座スタッフ

クモのお話講座の補助スタッフ仕事。午前中は会場セッティングとか配布資料のセットとか。午後は、参加者に配布資料を手渡し、講演が始まったら照明係。40人くらいかと予想していたら、講演開始後も人が増え、結果50人も参加して下さったため、満席状態に。こうなることが分かっていたら、大きな講堂を使うのであった。
参加者の方々の反応は大変良かった。特に動画で、感嘆の声が何度も上がっていた。今、ひそかにクモブームが来ているのではないかと疑っていたが、やはり岩手にも来ているらしい。
閉館後は、この日に終了したトピック展の撤収手伝い。ホネ標本を2階の展示室から地下の収蔵庫まで下ろして仕舞う。2時間後に終了。続きは翌日。

標本の配架準備

今日は標本同定会をすることにしていたのを忘れて振替休日にしたのだけど、前日に思い出して無事に出勤。
初めて、同定会で配架待ち標本のソーティングをやることにした。9時から収蔵庫の標本20箱(1箱は100枚くらい)を下の教室へ下ろし、セッティングして、10時開始。調査日ごとに袋に入っている標本をバラして、科の五十音順に並べていく。科がソートできたら、次は和名の五十音順に並べていく。夕方4時まで8人でやって、全部完了した。すごい。しかし、終わった時にはみんなヘロヘロであった。立っている時間が長いから疲れるんだな。ちなみに配架待ち標本は、あと20箱くらいある。

年度始め業務あれこれ

年度末の次は当然、年度始めである。
最優先はネットワーク管理業務。新任の人々が出勤してくるので、パソコンの使い方、メールソフトなどについて簡単に説明する。
次に、館内のメールグループのリストを更新する。それから、新年度の職員メールアドレス一覧を全員に送信する。メールソフトに取り込むためのCSV形式のファイルも作って、一緒に送信する。
それから、転勤した人たちの新しいメールアドレスを入手して、メール転送の設定を行う。

次に、大量の館ウェブサイト更新作業がある。まずは新年度のスタッフ名簿をアップロード。
これ以外の作業は年度が明ける前にやってもいいのだけれど、やはり手を付ける時間がなく、年度が明けてからあくせくと行うことが多い。新年度の休館日とか、大量の普及事業の予定表を作成して、アップロードする。この作業はほぼ1日かかる。

さらに、年度が明けても館の報告書業務は続いている。主なものは、
・旧年度の館ウェブサイト月別アクセス数を集計して、報告書用にグラフを作成する
というやつ。でもこれは半日くらいでできる。

次に、館蔵資料データベースに新任の人々のアカウントを作成し、転勤した人々のアカウントを削除する。数日してから、新任の人々に情報機器とネットワーク、館蔵資料データベースの使い方などについてレクチャーをするので、それまでに。

年度末業務あれこれ

毎年、年度末は年度末ならではの業務に追い込まれる。大きく分けて、S-net業務と館の報告書業務と情報機器管理業務。
S-net業務は、年7,000件の標本データをフォーマットに合わせて整形して提出する仕事。これは年度末じゃなくてもできるのに、どうしても年度末ギリギリまで手をつけないで放置してしまい、〆切間際に深夜まで作業をすることになる。今回は、事前にアルバイトさんに手伝ってもらったのでだいぶ楽だったけど、それでも実質2日半くらいかかった。
報告書業務は、館全体の資料登録件数・点数を集計して、報告書用に表を作成する、というのが主。資料登録も、S-net業務と同じくいつでもできる仕事なのに、やはりみんな年度末まで手を付けないので、ギリギリになって1万件以上のデータを整形し、データベースに登録してから、それを集計するということをやっている。集計する際には、みんなが登録する時に犯したミスをチェックして修正し、それから集計して、それを開館以来のデータが載っている巨大な集計表に書き込むので、やはり2日くらいかかる。

情報機器管理業務は、主にパソコンの設定。うちの職場では転勤・退職する人が毎年4〜5人おり、その人達が使っていたパソコンは後任の人達が使うことになる。そのパソコンの設定を変更する仕事。転勤する人はだいたいギリギリまで仕事をしていたいので、この作業は3月31日の退庁時間を過ぎてからしか始められない。来年の自分のために作業手順を書いておく。
先に、ネットワーク・サーバーとメールサーバーに新任の人たちのアカウントを作っておく。同時にNAS上の共有フォルダーのアクセス権限も設定しておく。次に、新任職員用パソコンを受け取り、電源を切ったままで、函体やキーボードをエタノールできれいに拭く。キーボードカバーを新品に替える。きれいになったら電源を入れて、NASのアカウント名でユーザーアカウントをもう一つ作る。作ったら、古いユーザーアカウントを削除する。それから資格情報マネージャーを編集し、新しいアカウントでネットワーク・サーバーに接続できるようにする。ここでちょっとした罠があって、ユーザー名の欄でもユーザー名の前にサーバー名を付けてあげないと、NASにつながらない。(毎年これを忘れて苦労する。)
次に、ネットワーク・サーバーのショートカットをデスクトップに貼り付けてあげる。メールソフトを起動して、新しいアカウントでメール送受信ができるようにする。それからメールソフトのショートカットをタスクバーに貼り付けてあげる。
次に、プリンターのリストをチェックして、入っていないドライバーをインストール。最後に、Windows Updateを実施する。前にそのパソコンを使っていた人がUpdateをサボっていると、ここから膨大な時間がかかる。4台だと、作業完了はだいたい23時を回る。5台だと24時を回ることがある。

もし年度替わりで事務室内の自分の机が引っ越しすることになったりすると、上記の作業に並行して自分の引っ越し作業をやらねばならず、かなり悲惨なことになる。今年は動かなくて済んだので助かった。で、前日23時を回ってから家に帰って次の日(4月1日)の朝8時半に出勤したら、年度末には大掃除をしてスッキリと新年度を迎えるべきと信じている上司の人に「机が汚れている」と指摘されたりするので、わりとつらい。

今、岩手県では風力発電など再生可能エネルギーの開発計画が林立している。たぶん全部で15件ほどのアセス手続きが進行中。
そのため、2016年は県のアセス審査会とそれに関係する個別ヒアリングの回数がすごく多かった。数えてみたら、県のアセス審査会が4月・5月・6月に各1、7月に3、9月・10月・11月・12月に各1で、計10回出て、1回は欠席。そして関係するヒアリングが2月に1、3月に1、5月に2、6月に1、7月・8月・9月・10月・11月に各2回で、15回。このほかに県振興局単位の現地調査依頼が6件ほど。各件にそれぞれ分厚い書類が付いてきて、全部に目を通すことになる。さらに、早池峰周辺のシカ関係と、県の希少野生動植物保護関係と、県環境審議会とその部会の委員会がそれぞれあって、キャパシティをオーバー中。
でも生物の分布情報を集めている地域の博物館がこの部分で役に立つことは間違いない。博物館側にしても有用な情報が得られるし、かつ個人的に勉強になるのも確か。そして時々は、実際の保全に役立つこともある。ということで、極力出席することになる。
2017年からは環境省レッドリスト改訂調査も始まるそうだ。それぞれの仕事が独立しているようでいて、少しずつ繋がっているのも断れない理由。
とまあ、そんな状況ですので、当面、他県からの御依頼はお断りしております。(←何かの弁解)

1年振り返り(2)

2016年は自分にとってわりと大きなことがたくさんあった年でした。身辺では、5月に近隣で放火殺人があったことと、3月下旬から四十肩になって11月まで治らなかったことが2大事件。
火事では、自分の家は被害を免れて助かったけれど、火事を見つけて通報した人の一人ということで警察と消防から長い聴取を2回ずつ受けたり、マスコミから職場に取材電話がかかってきたり、今まで経験したことのないことを色々と経験した。今でも、延焼したらどうなっていたかと想像してゾッとすることがある。
そして四十肩はマジで辛かった。両腕が上がらないし広がらないし、もし11月に治らなかったら展示作業が全くできなかっただろうと思われる。パネルの釘打ちとか、大型の物を運ぶとか、11月まではほぼ無理だった。解消して本当に良かった。

以下は主に移動の記録。
<1月>
年末年始はまたもや文化財レスキュー本改訂版の編集業務。
下旬、日博協の研究協議会で黒田記念館。この時のテーマはすごく勉強になった。日博協の事務室で最後の校正をやらせてもらった。
月末、文化財レスキューのプロジェクトで福島県文化財レスキューの視察に連れて行ってもらった。相馬市と白河市まほろん。
<2月>
月初、文化財レスキューのワークショップで東京藝大。
中旬、陸前高田市高田松原など津波後のフロラについての講演。
月末、文化財レスキューのワークショップで福井県歴博。大宮から金沢まわりで行き、名古屋まわりで帰る。名古屋市博にも寄った。
<3月>
年度末のドタバタ業務。
下旬、生態学会で仙台。自由集会とポスター発表。途中で1回盛岡へ戻った。
<4月>
年度初めのドタバタ業務。
下旬、住田町で観察会講師。
<5月>
下旬、北上市和賀で観察会。岩泉町と一関市で現地調査。
陸前高田市の青松島と大船渡市の珊瑚島の現地調査。
葛巻町でサクラ草サミット。
<6月>
岩泉町で東北植物研究会の観察会。岩泉町で現地調査。
<7月>
上旬、早池峰山北面で現地調査。
中旬、青森県立郷土館で標本調査。大船渡市博の磯の観察会(三陸町)に参加。
月末、早池峰山河原の坊でシカ食痕調査。
<8月>
上旬、大阪市立自然史の友の会合宿(南三陸気仙沼)に参加。
中旬、早池峰南面でシカ食痕調査。
下旬、一関市で現地調査。
<9月>
中旬、早池峰北面で現地調査。
中旬と下旬、展示資料調査で宮古市田野畑村
<10月>
上旬、大船渡市博で展示資料調査。振興局アセス現地踏査。
中旬、古川沼調査見学。
<11月>
上旬、北上市学芸員ネットワーク岩手の研修会。
<12月>
展示資料の借受、展示解説書の執筆と版組、展示作業。17日から展覧会の開幕。
開幕後は取材対応や展示の修正など。年末は館内パソコン機器の移動など。

2016年に見た展覧会。(忘れてるのがありそう)
・1月、国立科学博物館渋川春海展。
・2月、福井県歴博で常設展示と文化財レスキュー展、福井市立美術館で「美術の目で見る博物」展、名古屋市博で常設展示と文化財レスキュー展。
・3月、福島県博で震災記録展と常設展示。アクアマリンいなわしろで常設展示。
・4月、東京都庭園美術館エミール・ガレ展。LIXILギャラリー(東京)で「薬草の博物誌」展。
・5月、岩手県立美術館でジョルジョ・モランディ展。
・7月、青森県立郷土館でコウモリ展。
・10月、江戸東京博物館シーボルト展。サントリー美術館で鈴木其一展。
・11月、国立科学博物館シーボルト展。根津美術館円山応挙展。

自分が担当する展覧会(「大津波と三陸の生き物」)も始まったので、だいぶモノを考える余裕ができました。
今年書いたもののうち主なもの。
・3月 文一総合出版生態学が語る東日本大震災』普及書・分担。
・4月 「東北地方におけるイネ科フォーリーガヤの初記録」植物研究雑誌91(2): 105-106 短報・査読あり・主著。
・8月 『岩手県産維管束植物チェックリスト』編集。
・11月 Springer "Ecological impacts of tsunamis on coastal ecosystems" (Urabe & Nakashizuka eds.) 分担・査読あり・単著。
・12月 『展示ガイドブック 大津波三陸の生き物』普及書・単著。
このほかに、新聞コラムや広報誌のコラムなど。

これから書くべきもの・書きたいものリスト。
(義務のあるもの。)
・新聞の輪番コラム。7日〆切。
・珊瑚島の調査報告。なるはや。
DAB論文集の担当章の序文。まとめ文にもケリをつける。
(書きたいもの。)
津波浸水地フロラ調査の結果報告。
・三貫島と船越大島のフロラと植生調査報告。
・フォーリーガヤの産地報告もう一つ。
岩手県産維管束植物チェックリストのフォローアップ記事、多数。

長靴の寿命

今日、長靴を洗っていたら、片方にひび割れが見つかった。
ここで書いている大同マイティブーツである。
http://d.hatena.ne.jp/mahoro_s/20130918
今度は3年しかもたなかったか。なんでだろう?特にフィールドワークの頻度が高まったわけではないし、歩く距離が長くなったわけでもないと思うんだけど。
次は何を買おうかな。そろそろ軽量化したくなってはいる。
山梨スチールさんはオンラインショップを止めてしまったみたいなので、他で探そうと思う。
もはやこの日誌はこういう何年も前の記録を引っ張り出すためにあるようなものだなあ。

唐突に日誌を再開します。長文を書きたい気持になってきたので。
ただいま絶賛「四十肩」中。3月下旬頃から両腕に謎の痛みが発生し、整形外科へ行ってレントゲン撮影するも異常なく、診断は「五十肩」。五十よりは四十の方がまだ心が休まるので、自分では「四十肩」と呼んでいる。
始まってからすでに4か月が経過。最近やっと急性期が終わった感じ。始めは特定の方向へ動かすと痛い程度だったのが、次第にじっとしていても肩が疼くようになり、痛み止めを常用するようになった。特に辛かったのは就寝時の痛み。仰向けになると、肩が背中側に引っ張られて痛い。横向きに寝ると、下にした肩が内側に引っ張られ、メキメキと音がしてさらに痛い。痛み止めを飲んでいても明け方にはチクチクする痛みで目が覚める。おかげで眠りが浅くなり、元気が回復しない。これはさすがに生活に差支えると思って整形外科へ通い、ヒアルロン酸注射と痛み止めと湿布で何とか凌いでいた。急性期は平均的には1〜3か月と言われているので、4か月続くのは、かなり長い方だと思われる。
最近はだいぶ良くなって、鋭い痛みを感じることは少なくなってきた。が、よく言われるように可動域が狭くなり、腕を真っ直ぐに上げて万歳をすることも、後ろ手に組むこともできない。細かいところで生活に変化が起きた。ブラジャーは前でホックを留めてから180度回転させているし、ジーンズは予めベルトを通しておいてから履くようにしている。肩周りが狭いTシャツやブラウスは、腕が縮められないため着られないし脱げないので、お蔵入りにした。腕と肩を水平に保つこともできないので、当然ながら、楽器も弾けない。車の運転は何とかなるものの、右後ろのシートベルトを引っ張るのに苦労するし、ハンドルを大きく切ることはできない。高所の物を取る時は、腕を伸ばすのではなく、必ず台の上に乗る。うっかり転んだ時、体を支えるために手をつくと激痛が走るので、できるだけ転ばないように慎重に歩く。全体的に、動作がお年寄りじみていると思う。
「可動域が狭くなる」のは、痛いからそれ以上動かせないという意味なのかと思っていたが、そうではなかった。本当に不思議なことだけれど、物理的に動かなくなる。まるで、蝶番が開ききらないように金具で止めてあるような感じ。テレビで、体操やテニスの選手が腕をグルグルと自由に動かしているのを見ると、うっすらと痛みを感じるとともに、信じられないという気持になる。彼らは四十肩になることはないのだろうか。
今一番つらいのは、肩こりをほぐす運動ができないせいで、自分史上最高に肩が凝っていること。今後は、可動域を徐々に広げるためのトレーニングをする必要があるらしい。加齢のせいとは言え、こんなことが自分の身に起きるとは、びっくりである。

生態学会仙台大会の感想などなど。
20日は公開講演会の後で初めて代議員会に出席。14個も委員会があり、それぞれから報告があるので、それを聴くだけで2時間以上が経過。検討事項も多くて、3時間の会議でも時間いっぱい。こりゃ大変だ。ちなみに代議員になったのは、先日の選挙によりたった8票の得票数で地区会の中で次点となり、さらに当選した人の辞退によって繰り上げ当選してしまったからである。不運なり。

研究発表は今年12月のテーマ展準備のために、津波影響関連の発表を中心に聴いた。津波影響関連は、5年も経ってだいぶ全体像が見えてきた。個々の事象としても興味深いことが多くある。三浦さんのホソウミニナの話P2-373は面白い。浦ごとに生き残り個体を元にして個体数が徐々に回復中、浦の間に遺伝的交流はほとんどなく外からの新規加入はなさそう、というのは、ベントスでも幼生期に浮遊生活をする種で言われていることとは大きく異なっているのではないかと思うのだけれど。
そのほか訪花昆虫関連のポスターがとても楽しかった。ヒメマルハナバチが高山帯に営巣しているらしいことを示したP1-117中村さん、高山帯のハエ目がちゃんと送粉者として機能していることを示したP2-183日下石さん、高山帯では開花フェノロジー構造が亜高山帯以下とは異なっていることを示したP1-137水永さん、などが印象に残っている。力技のフィールドデータとシャープな解析の組み合わせ。

集会は保全政策関連を中心にいくつか。全体的に、震災復興工事関連を中心として、保全の場での生態学者の敗北感が非常に大きくなっている、ということが強く感じられる大会だった。だからこそ「教訓」とか「次に備えて」とかの言葉が出てくるのだし、政策の場に生態学者が参画するには、あるいは保全にとって効果的な政策を実現するには、ということが、危機感と焦燥感を伴って議論されている。

続きはまた後日。

先日、思いがけない方から原稿を褒められて、自分でも驚くほど嬉しさを感じた。「なんか、褒められるっていいもんだな」と思った。みんなもっと褒めてくれてええんやで。

ていうか、急ぎだっていうから自分の本来の仕事を後回しにして、自分の分担じゃない他人の仕事をフォローして超特急で上げて、それでも間に合わないから雪の中を宅配便営業所へ持ち込んで、やれやれやっと送ったっていうのに、印刷屋から責められたりして、かなり嫌になってる。私のせいじゃないのに。こんなフォローばかりの仕事、早く終わってほしい。

この冬はここまで記録的な暖冬である。頻度としては10年に一度くらいかな? とりあえず記録しておこう。辺りの地面にほとんど雪がない。側溝にわずかに融け残った塊があるくらい。この時期、庭の枯れ草が雪で隠れていない冬は珍しい。やはり、暖かいと冬を過ごすのも気が楽。
今朝は、日曜日の体験教室「みずきだんご」のために、朝早くから庭のミズキの大枝(長さ2mくらい)を5本、鋸で伐って、車に積んで博物館へ持って行った。木の高さは4mくらいになって、枝ぶりもそれらしくなり、大枝を伐るにもためらわずにすむようになった。とにかく成長が速いので、すぐにまた伸びてくる。
切った枝の先を見ると、赤い芽鱗でガッチリと覆われているはずの冬芽が少しだけほころびかけており、ものすごく驚いた。急に暖かくなりすぎるのも、やっぱり色々と問題が起きるだろうな。
小正月に、葉の落ちた木の枝に色とりどりの餅や団子などを飾り付ける「餅花」や「繭玉飾り」の風習は広くあるようだけれど、それにミズキを使うのは、平地が冷温帯に属している東北地方と、長野県と新潟県の一部だけなのではないだろうか。こういう風習に使われる材料はとにかく身近なものと決まっている。飾りの枝を採るために、真冬にわざわざ雪山に登ったりはしない。この厳冬期にミズキを手に入れられるということは、家の裏山にミズキが生えているような環境ということなのだ。関東地方では桑や柳、榎、桜などを使うらしい。
ちなみに関東で行う「どんと焼き」は、こちらでは見られない。枝につけた団子を後で食べたりもしない。

反省を込めて、2015年の振り返り。

東日本大震災が起きたことで始まった仕事が二種類あって、一つは津波被災文化財の修復関連の仕事。被災標本の修復作業自体はデータベース作りまでほとんど終わっているんだけど、2014年には「布教」プロジェクトが始まって、それが続いている。2014年にガイドブックの編集を終えたと思ったら今年はその改訂版を作る仕事があり、しかし忙しすぎて手を付けたのは今年の12月も下旬になってからという。
もう一つは津波跡地の植物相調査で、調査は3年間やったので一区切り。結果をどこかにまとめなければならない。で、来年3月に日本生態学会が出す予定の震災と生態系に関する英語の専門書(Springer)と日本語の普及書(文一)の中に、津波跡地の湿地性植物相というテーマで投稿させてもらえることになって、半分くらいは出せそう。だけどこれがすごく大変で、夏から秋はひいひい言いながら書いていた。残りは来年絶対出さないといけない。
加えて、この二つのテーマが合体したような国際シンポが2014年9月に仙台で開催されており、本当は今年11月までにそのまとめの原稿を書かなくてはならなかったんだけどこれが、全く1字も進んでない。というところで今年が終わってしまうのですね。

2014年からは、震災関係の仕事と博物館としての仕事の両方が常に並行していて、定常オーバーフロー状態。たぶん来年くらいまではそれが続くんでしょう。

県植物誌のための調査はもう7年目で、そろそろまとめなければならず、6月にやっと叩き台の仮チェックリストを作った。これから正念場。
あと、2014年あたりから県の環境部局関係の委員の仕事が急増して、2015年はアセス審査会が8回、アセスがらみのヒアリングが5回、環境審議会と部会が5回、あと他の委員会も、という感じでこれもなかなか。本当はシカの影響調査にもう少し注力したいところ。

<1月>
津波被災文化財プロジェクトによるガイドブック『安定化処理』の校正を前年末ギリギリになんとか納め、年明けに印刷屋さんが印刷。で、上旬は執筆者への御礼や送付先リストの作成などなど。東京へ出かけてTIでヤマガラシ属の標本調査、科博でシンポジウム聴講。下旬、仙台空港経由で太宰府へ。人生二度目の九州上陸。九博での被災文化財の会議に出席して発表。宮崎へ移動して宮崎県総合博物館で安定化処理ワークショップの講師。月末、つくばでヤマガラシ属の標本調査。
<2月>
上旬、大阪自然史で西日本自然史ネットワークの会合に参加、姫路で兵庫歴博の被災文化財展と姫路城を見て帰る。中旬、岩手大学ヤマガラシ属の標本調査。下旬、学芸員ネットワーク岩手の研修会幹事。いわて自然史展示室に被災文化財の展示コーナーを作成。ひなたの歯の手術。月末、滝沢市外来種の講演。
<3月>
上旬、福島大学分類学会大会でヤマガラシ属の発表。13年ぶりくらいに分類学会大会に出た。中旬、小石川でミチノククワガタの標本調査。科博・海老原先生のシダ植物講習会。下旬、被災文化財展の資料返却。仙台でDABの会議に出ようとして会場に辿り着けず青葉山をさまよい、45分くらい遅刻する。
<4月>
上旬、新年度の立ち上げ。中旬、植物誌調査会の総会など。宮古でマルミノシバナの移植。下旬、職場の個人用PCの入れ替え作業。
<5月>
中旬、EINET市民講座(スタッフ)。下旬、職場の有期雇用職員の就業規程変更問題が勃発。月末、住田町で自然観察会講師。
<6月>
中旬、労組執行委員として就業規程変更問題で職場意見のとりまとめなどに忙殺される。下旬、植物誌調査会の調査で採集した標本の中からフォーリーガヤが見つかる(東北地方初)。1年くらい懸案だった県の植物相チェックリストをやっと作って調査会会員に配布。金ケ崎町で自然観察会講師。月末、館の自然観察会。
<7月>
上旬、フォーリーガヤ再調査。岩大で学芸員課程の実習講師2回。中旬、春子谷地の調査。下旬、真昼岳の調査(大雨で大荒れ)。早池峰山のシカ食痕調査。
<8月>
上旬、春子谷地のオオハンゴンソウ駆除活動に参加。陸前高田学校で講師。長野県から名古屋へ旅行、飯田市美博と愛知県美などで展覧会を見たり。中旬、早池峰山のシカ食痕調査。下旬、岩手山調査(日帰り)。遠野市でシカ食痕調査。陸前高田へ行って安定化処理WSの講師。博物館学生実習の講師。夜沼の調査に同行。文一(生態学会)本の原稿提出。月末、S-netの研修会で上野へ。ついでにDABの打ち合わせ。
<9月>
燻蒸準備。上旬、Springer(生態学会)本への投稿。甲府へ行ってシカ影響シンポジウム聴講。帰りにTIとTUSでフォーリーガヤの標本調査。岩手山調査(日帰り)。中旬、科博コラボミュージアム展示準備。フォーリーガヤの報文投稿。下旬、科博コラボミュージアム展示開幕。館の自然観察会。
<10月>
上旬、博物館まつり。秋田市へ日帰り旅行、県博と千秋美術館と県美をはしご。中旬、科博・海老原先生のシダ講習会。下旬、花巻市外来種の講演。月末、科博・北山先生の海藻の講演会。
<11月>
上旬、科博コラボミュージアム展示閉幕・撤収。Springer本の投稿論文の修正。下旬、押し葉標本展の展示準備。
<12月>
上旬、北海道博物館で安定化処理WSの講師。EINET市民講座の幹事。中旬、東北植物研究会の大会・講演会の会場準備、講演も少し。Springer本の修正稿の提出。職場労働者代表として就業規程変更に関する意見提出。下旬、『安定化処理』ガイドブックの改訂編集作業を開始、年明け入稿予定。県立大学で春子谷地の講演。

<積み残し>
DAB原稿はまだ1字も書いていない。。。〆切は11月だった。。。