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沿岸生態系への津波の影響に関するシンポジウム。「とりあえずこういう調査を始めています」という報告。難しいのはやはり、ベースラインデータがほとんどないことと、初めて見る現象であること。この2点はどの調査でも共通と思う。 ベースライン(ふだんの…

岩手県では、ニホンジカの数はまだそんなに多くないけれど、どんどん分布が広がっている。農業被害額も増加中。県では保護管理計画を定めてニホンジカの個体数管理をしようとしている。 ニホンジカが高密度にいる地区は個体数調整区域と名づけられ、年に1500…

一緒に作業をしながら、話を聞くのも大事かなあ。と今日は思った。 いろんなことが、口に出されずにそれぞれの心にたまっているのだと思う。 外から人が来ることによって、ちょっとずつ吐き出すことができるのかも。

陸産貝類より先に海産貝類の標本を洗ったのは失敗だったなあ。陸産貝類の方が殻が薄くて脆く、カビに弱いので、真っ先に洗浄すべきだった。完全に後知恵だけど。

同じ部屋で、古文書を洗う人たち、海苔を作るスノコを洗う人たち、カタツムリの標本を洗う人たちが一緒に作業。それぞれが全く性質の違う品物だけど、津波に遭った博物館資料という点が共通。なんか不思議な感じ。

7時に出発、9時45分に着。初めて小友浦に行ってみた。怖くて胃が縮むような感じだった。津波の通った跡は見慣れたような気になっていたけど、違った。風景がこんなになるなんて、やっぱり現実とは思えない。でも目の前にある。 生えていた草本は、市街地より…

人が死について語ることがあまりに少ない、もっと普通に、死んだ人のことを話すべきだと、前から思っていた。センターで事故が続いた頃からだ。津波でたくさんの人が亡くなったので、今は一時的に、死について口にすることが自然になっている。これは思いも…

受け容れるのがとても難しいことが、現実に起きていて、進行している。自分がそれをうまく受け容れられずにいる、ということは、自分でも知っている。それで、これからは、長い物語が必要になるのではないか、と感じ始めたところ。

12日に通過した陸前高田市の(かつての)町中。多いのは、目に付く順にイヌビエ、エノコログサ、シロザ、メヒシバ。エノコログサは複数種が混じっているかも。他に、ハルジオンなど。 11日の津軽石川の河口調査。多かったのは、なんと言ってもシロザ。次にイ…

宮古の海岸にある9階建てのホテルの7階に宿泊。1階は津波にやられたけれど、営業を再開している。大浴場や客用エレベータは使えないが、部屋にお風呂がついているし、業務用エレベータは動いているので特に支障はなかった。 ホテルの前は貯木場らしく、大量…

沿岸で宿泊先を探して検索&電話かけまくり。でも全然ダメ。どこもいっぱい。復興作業に来てる業者の人たちと、お盆で帰って来てる人たちと、ボランティアに来てる人たちか。もともとキャパが小さい上に海岸の旅館の数が減っているからなあ。

5月にやっていたレスキュー作業のことを2つの原稿に書いていたら、当時のことがいろいろ思い出されて、そしたらけっこう苦しかった。という話をしたら、同僚の人もうなずいていた。当時はみんな、しんどさを感じないようにプロテクトがかかっていたから平気…

今週からうちの博物館の文化財レスキューは新しいフェイズに入った。緊急雇用で9人もの人が新たにスタッフとして働くことになったからだ。自然史標本だけで3人。今週は作業の説明・トレーニング。今までしんどくて手をつけていなかったものがどんどん片付き…

貝の標本25,000点を預かっていることになってたんだけど、データベース上でちゃんと数えてみたら37,000点あったわけ。まあ増える分にはいいか・・・。それだけレスキューしたっつうことだもんね。

たぶんこの4ヶ月間、誰にも把握しきれないほどのたくさんの人たちが、本当にいろんな形で、被災地の助けになることをしているはず。逆に言えば、今の私たちの生活はそれだけたくさんの仕事に支えられているということなんだなあと思う。ふだんは意識していな…

陸前高田市の博物館資料の半分以上は、市内山間部にある、廃校になった小学校の建物に運ばれた。今はそこに職員やボランティアの方々、県内博物館関係者などが通って、洗浄作業や整理作業をしている。施設には「陸前高田市立博物館・海と貝のミュージアム仮…

大きな災害があった時、文化行政に関わる専門家に何ができるか。この問いに対しては、まだジレンマを感じている。 当初、「文化財は専門家でないとレスキューできない、現地には専門家がいないからダメ」と考える人が多くいたが、それは多くの場合幻想であり…

8時45分に出発、K先生を拾って11時15分頃に宮古に着。宮古の方々と一緒に浜辺の植物を見に行く。 問題の植物は、津波をかぶっても生き残っていたのに、瓦礫を片付ける重機が浜に入ったために消えてしまったとYさんが憤る。そういうことが無いようにとよく頼…

新聞の取材件数が多く、かなりの時間を取られている。しかも、どれも同じ質問。「経緯は?」「館数は?」「点数は?」「感想は?」「年齢は?」基本情報はまとめて出してあるのでそれを見てほしいし、私の感想なんて訊いてどうするんだろうと思うし、年齢に…

震災以来、初めて陸前高田以外の沿岸の町へ行った。話には聞いていたが、だいぶ状況が違うことに驚いた。地形の違いが第一の主要因。次に土地利用の違い。 求められる標本レスキュー作業のあり方も、その場その場で違う。それぞれ背景事情が全く異なっており…

山階研の「提言」を読んでみた。震災を受けての「鳥類の保全上必要な対策」だと言うけれど、残念ながら説得力がない。 内容は、つまるところ「被害地で鳥の調査をしろ(させろ?)」と言っているだけ。野生生物の被害調査が必要だってことは、素人にだって役…

なんかいまだに、本当じゃないような気がする時があるんだよね。高田の人もそう言ってたけど。かつての日常との距離があんまり大きいので、ふっと現実感が薄れる時があるんだよな。 被災した人たちは、その気分を振り払おうとして、やたらと頑張っているよう…

報道が徐々に大きくなって来た。波紋も広がって跳ね返って来る。連鎖反応やから仕方がないな。 情報が錯綜しているというか、あれこれ間違いも散見される。どっからそんな話が出たの、っていうような。

今年は全般的に花が多い。それは地震のせいだ、みたいなアホなことを言う人がいて、ホントに困る。去年の猛暑とか、皆もうすっかり忘れてるんだろうな。

おおー来たー。メールで御質問。 Q:タンポポの花(花茎)が急に増えたわけは、放射性物質のせい? A:花芽の数は震災前にすでに決まっていたはずだから、それはないでしょう。 それはそれとして、親たちは子どものことが無条件で心配なのだろう。盛岡では…

被災して家が無くなった人たちが、なぜか避難先で精力的に生物採集を始めていて、ルーペとか図鑑とかPCとか、無くした物があれこれ必要だと言う・・・。こっちにしてみれば「なぜこんな時に」と怪しんでしまうのだけれど、たぶん代償行動のようなものなんだ…

陸前高田の資料救出は終盤に入り、後方での復元作業は佳境というところ。現地ではこれから洗浄作業に入るところ。というわけで、陸前高田はなんとか目途がつき、ようやくこれから山田町の話に入れる。やっぱり、人材が足りないと思う。

現地での作業の休憩時間に、津波で死んじゃった人の話が出る。彼らにとっては、精神的支柱であった人、仲間や友人であった人の話だ。4月にも話されてはいたけれど、5月になるとまた少し違う深さになっているのを、聴いていると感じる。どこがどう、というの…

熊谷さんが、収蔵資料のレスキューについて「うちがよそに迷惑をかけている」「県博は二次被災者だね」と言うのが気になる。冗談混じりながらも。 収蔵資料はそれぞれの館・その自治体の財産であることは確かだけど、人類の共有財産でもあるわけで。レスキュ…

全体を見て情報を集め、人や物を動かす司令塔的な機能と、実働部隊として働く機能は両立しないのかなあ。自分が実働部隊として現場で働いてしまうと、司令塔としてはこぼれ落ちるものがたくさんある。でも、自分が必死に働いて初めて、情報も集まってくると…